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3.視察の詳細
3.1 MIT Auto-ID Center本部(オートIDセンタ)
日時:5月23日(金)15:00~17:00 
場所:MIT(マサチューセッツ工科大学)Auto-ID Center
 マサチューセッツ州ケンブリッジのMIT内にあるテクノロジー・スクウェア・ビル 6F
説明担当:Tom A.Scharfeld氏(Associate Director An Introduction & Demonstration)
 Robin Koh氏(Associate Director Applications Research & Demonstration)

3.1.1 はじめに
 Auto-ID Centerは、RFID(無線認識)タグ等のポスト・バーコードの実現に関する産業コンソーシアムで、1999年に43のスポンサーと54の技術系ベンダ、そしてMIT(マサチューセッツ工科大学)やケンブリッジ大学、慶応義塾大学など5つの大学の研究機関の参加を得て、非営利の国際的な研究機関として創設されました。
 Auto-ID CenterはRFIDタグの可能性に着目し、その技術的基盤であるコード体系やデータ処理システム、ネットワークなどのインフラの構築について研究を進めてきました。そしてセンターは、それらの標準化やコストダウンを図ることで、RFIDタグがより使いやすく、より広汎に活用できるようになることを目指して活動しています。
 今回訪問した本部は、ケンブリッジにあるMITのテクノロジー・スクウェア・ビルの6Fにあり、アソシエイト・ディレクタのシャーフェルド(Tom A.Scharfeld)氏とコー(Robin Koh)氏により、

Auto-ID Centerについての概要説明
RFIDタグの適用研究の紹介
スマートシェルフ(SmartShelf)に関するデモンストレーション
質疑応答
が行われました。
Forresterの文字がみえるMITのテクノロジー・スクウェア・ビルと視察団

3.1.2 RFIDタグに関する現状の6つの問題点・課題についての意見
 説明をはじめるにあたり、まずシャーフェルド氏より、私たちの提示したRFIDタグに関する現状の6つの問題点・課題に対して以下のようなコメントがありました。
(1)コストの問題(タグ単価が高い)

2、3年でクリアできる(リーズナブルな単価へ落とせる)だろう。利用量(製造量)の増大と標準化の進展が不可欠である。
(2)技術的制約の問題(認識距離が短い、同時読取個数、加工技術等)

技術的制約についても十分把握しており、十分クリアしていけるだろうと考えている。
(3)利用環境整備(規制)の問題

(電波法の制約:日本ではRFIDタグのUHF帯の利用が認可されていない。また電磁波による人体への影響も懸念されている。)
各国の協調により、どの周波数帯でも使えるような標準化技術が確立されていくだろう。
(4)セキュリティの問題(不正読み取り、改ざんなど)

Auto-IDセンタにおいても、目下専門グループが、タグとリーダ、ネットワーク上のそれぞれに対して対応を検討している。
(5)リサイクルの問題

チップの極小化や導電性インクによるアンテナなど、はじめからRFIDタグのデザインにリサイクリングしやすいデザインを組み込むことは可能だろう。
またRFIDタグのデータの内容によって、リサイクルの選別を行うことも可能だろう。
(6)標準化(規格化)の問題

Auto-IDセンタは、RFIDタグが利用者にとってより使いやすく、幅広く利用できるよう、標準化の手続きを進めている。

説明を行うシャーフェルド
(Tom A.Scharfeld)氏
シャーフェルド氏によるSavant技術の
解説とコー(Robin Koh)氏(左)

3.1.3 Auto-ID Centerのなりたち
 P&Gのグランドマネジャであったケビン・アシュトン氏が、商品が小売の棚にタイムリーに配備されていない、という問題への解決策として検討を開始したことに端を発しています。こうしたユーザのニーズに基づいた活動、ユーザの立場に立った技術の共有化、標準化がセンタの目指すところであり、RFIDの特定のハードウェアやアプリケーションに着目しているわけではありません。

3.1.4 Auto-ID Centerの目標
 センタの目標は、 Connect material objects with networked information 、つまりそれぞれの商品(オブジェクト)にユニークな識別を可能とするタグをつけ、ネットワーク化された情報システムを利用することによって、該当する商品の情報を取り出すことができるようにすることです。
そのためには、
(1)ある商品(オブジェクト)が完全な可視性(Visibility)を持つこと

つまり、ある商品に対し、
1)その商品はどのようなもので、
2)今どこにあって、
3)どうやってそれらを手に入れられるのか
を知ることができる
(2)ある商品の識別と追跡(Trackability, Traceability)ができる
(3)合理化された生産管理および在庫管理ができる
(4)ビジネスプロセスの調査や管理ができる
必要があります。

3.1.5 何故そのような目標が必要なのか
 グローバルなサプライチェーン上における商品の識別と追跡を可能とするためです。

3.1.6 どのようにそれを実現していくのか
 オープン、かつ標準的なネットワークを基盤とした仕組み(ハードウェア、ソフトウェア、記述言語)の構築が中心となります。

3.1.7 目標実現のために必要となること
目標実現にあたっては、以下の用件を満たすことが必要になります。
(1)単一のオープンな仕組み(アーキテクチャ)
(2)特定のハードウェアやソフトウェア(プラットフォーム)に依存せず、それぞれの仕組みが互いに情報交換できること
(3)最小限の安価なタグで実現できること
(4)改善や変更に柔軟に対応できること

3.1.8 目標実現のための技術
目標実現のための技術は、RFIDタグとインターネットの仕組みを応用した分散情報処理システムが検討されています。
それらは大きく分けて、各タグの識別コードであるePC(Electronic Product Code)、無線タグとリーダ/ライタからなるRFID(Radio Frequency Identification)、商品情報の格納先を提示する仕組みであるONS(Object Name Service)、商品情報の記述言語であるPML(Physical Markup Language)とその格納サーバ、商品情報の収集とそれにもとづく処理を行う仕組み(ソフトウェア技術)であるSavantから成り立っています。
Auto-IDセンタのRFIDタグに関する5つの基本技術要素を表したのが下図です。

Auto-IDセンタのRFIDタグに関する5つの基本技術要素
Tom A. Scharfeld氏の「Auto-ID Center: An Introduction」(説明資料)をもとに作成

(1)ePC(識別コード)

 Auto-IDセンタの設立趣旨である、次世代のバーコードシステムの研究にもとづいて開発された製品認識コードです。個々の商品(オブジェクト)そのものを識別するための固有のコード(固有のシリアル番号)を持っている点がバーコードと異なります。
96bit規格、64bit規格、256bit規格が検討されており、Auto-IDセンタの仕様では、ePCがタグに格納される唯一の情報(データ)となります。
すなわち、ICチップのメモリに保存するデータを限定することで、タグ自体のコストを抑えようとしているのです。。


■96bit規格の場合(メーカ情報28bit、シリアル番号36bitの別バージョンもあります)



8bit(バージョン)+24bit(メーカ情報)+24bit(製品情報)+40bit(固有のシリアル番号)
(2)RFID(タグとリーダ/ライタ)

1)タグ


ePCの入れ物となり、リーダ/ライタとの間でそのやりとりを行うデータキャリアにあたるもの。
■標準タグ仕様
Auto-IDセンタは、標準タグ仕様として、以下の2つをはじめとした、いくつかのクラスのタグを規定しています。
・クラス0タグ



(WORMチップ:1回書き込み複数読出しが可能なチップ a write once read many times)
データは、シリコン・ウーハからのチップの製造工程の段階で書き込まれます。


・クラス1タグ
(EEPROMチップ:電気的に消去可能なプログラムを書き込むことができるが、読込み専用として扱われるチップ a chip with electrically erasable programmable read-only memory)
このチップは、プログラムを書き直すことは可能ですが、通常のリーダやエンコーダでは書き込みができません。

■構造(ICチップ+アンテナ)
■利用周波数帯と認識距離(タグ読取り距離)



13.56MHz・・・50~75cm程度
915MHz(UHF帯、北米)・・・3m(~6m)程度
2.45GHz・・・50cm~1m50cm程度


■メモリ



読み込みのみ(Read-Only)、読み書き可能(Read/Write)
限定回書き込み可 など


■動作による区別



アクティブ(active:電池と発信装置を持つ)
パッシブ(passive:電池や発信装置を持たない)


■コスト



タグの単価を、パッシブ、リードオンリ型で5セント以下にすることが、当面の目標となっている。

2)リーダ/ライタ


タグのePCを読取る/書き込む装置で、複数の周波数帯、ePCに対応するものが検討されている。リーダは、読取ったePCを処理システムに伝達する。
(3)ONS(商品情報の格納先を提示する仕組み)

ONSは、リーダが読取ったePC情報を処理するアプリケーションのコンピュータ(Savantサーバ)と、そのePC情報に対応する製品の情報を保管するコンピュータ(PMLサーバ)を結びつける仕組みです。
その機構は、URLという、ある種の名前によって示されるホームページのコンテンツ(たとえば、http://www.sur.co.jpというURLで示されるホームページの内容)が、インターネット上のどのコンピュータ(サーバ)上に存在するかを指し示すDNS(Domain Name Service)という、分散データベース・システムにもとづくインターネット上の名前解決の仕組みに非常によく似ています。
つまり、現在数億サイトといわれるインターネット上のホームページの名前解決を実現しているDNSの仕組みを応用することで、膨大な商品の識別と追跡といった、センタが掲げる目標の実現が可能になるだろうと考えているのです。
(4)PML(商品情報の記述言語)

 ePCに対応した商品(オブジェクト)情報をコンピュータ(PMLサーバ)に保存するための、商品情報の記述用言語であり、最終的には、現在さまざまな分野への応用が図られているXMLに基づいたものになるといわれています。
 XMLに基づく言語体系の形をとることで、さまざまな商品に対する情報を、非常に柔軟に記述できるようになることが期待されます。
 PMLが記述する情報は、基本的にはSavantを介してビジネスアプリケーションによって利用されます。
(5)Savant(商品情報の収集とそれにもとづく処理を行う仕組み)

 Auto-IDセンタが開発した階層的な分散構造(アーキテクチャ)にもとづく、ネットワークをベースとした商品データ処理のためのソフトウェア技術で、ONS技術とともに、ePCとPMLをネットワーク上で結びつける働きをします。

3.1.9 目標実現のための技術の標準化

 Auto-IDセンタが掲げる目標を実現していくためには、どうしてもそれを支える技術の規格や利用方法の標準化が必要になります。

3.1.10 ビジネスアプリケーションへの適用
 ERPやSCMのようなビジネスアプリケーションは、目標実現のための技術(ePC、RFID、ONS、PML、Savant等)を活用することで、その中に商品情報を取り込んでいくことができます。

3.1.11 ビジネスに応用可能なRFIDシステムの特徴

 RFIDタグを利用したシステムは、ビジネスに応用が期待される以下の特徴を持っています。
・無線での対象の特定(No Line-of-Sight Identification)ができる
・ユビキタスでユニークなID(Ubiquitous UniqueID)を持つ(いつでもどこでも確認可能な固有のIDを持たせることができる)
・リアルタイムな可視性(Real-Time Visibility)を持つ(逐次現在の状態を確認できる)
・動きの追跡と履歴(Track & Trace)を得ることができる
・粒状性(Granularity)を持つ(塊としてでなく、個々のアイテムごとの動きを追うことができる)
・双方向の情報の流れ(Bi-directional Information flow)を持つことができる(バーコードのように、商品から情報システムだけでなく、情報システムから商品(タグ)への情報の流れを持たせることができる)

3.1.12 RFIDタグの応用例について
(1)ブルフィップ効果(Bull Whip Effect)の利用

商品の製造から流通、小売の流れにおいて、時間がたつほど関連する情報の質にばらつきが生じることが問題にされています。その対策としてRFIDタグのシステムを活用し、商品のライフサイクルのそれぞれの拠点に対し、同時に情報のやりとりができるようにすることで、あたかも「牛をムチで叩くように」(Bull Whipの意味)、情報のばらつきを抑え、情報の質を上げていくことが明らかになりました。
(2)偽造(Counterfeit)対策

タグに格納されたePCのチェックをもとに、不良品、不正ラベル品、不法改変品等の廃棄や差し戻し、リコールなどに利用する方法が検討されています。
(3)窃盗(Theft)対策

Auto-IDセンタは、窃盗対策としてすでに実績のあるEAS(Electronic Article Surveillance:商品監視)システムでは、万引きや商品の引き抜き、損傷による商品の損失(Product Shrinkage)に対しては、部分的な解決策しかもたらしていないとみています(下図参照)。

商品の損失に関するEASとRFIDによる対応範囲

EASとRFIDの比較について説明するコー氏
RFIDタグによる解決策は、広く商品の損失に関する問題の全般(商流上の損失と内部および外部犯行による窃盗)に適用可能です。
また、窃盗に関してみても、犯行の前後、犯行中といった時間的経緯も追うことが可能でです。そのためタグ情報をもとにした犯行前後の分析により、内部・外部のさまざまな手口の犯行に対応することができるのです。
(4)物資の統合管理(Logistics)

Auto-IDセンタでは、企業間(BtoB)のEDI(電子データ交換)を支援するロジスティックス・システムについても研究を進めています。現在のところ実証実験を通して、システムの基本モデルの省略可能なところ、変化が起こってくるところの確認を行っているところです。

3.1.13 「SMART SHELF」テクノロジー デモンストレーション

 概要説明の後、別室にてジレット(Gillette)とウォルマート(Wal-Mart)、テスコ(Tesco)が共同で行ったRFIDタグを活用した店頭在庫管理の実証実験である、「Smart shelf」テクノロジーに関するデモンストレーションが行われました。

(1)ジレット剃刀陳列棚(Smart shelf)

ウォルマート社は、2003年1月から、同社のマサチューセッツ州ブロックトン(Brockton)にある店舗に、「Smart shelf」テクノロジーを導入したジレット社の剃刀および関連商品用の陳列棚を設置し、RFIDタグ・システムの実証実験を開始しました。
 Smart shelfは、それ自体がRFIDタグのリーダとなっています。それはコンピュータを経由して、陳列してある複数の商品パッケージの状況を、その中に予め組み込まれた(ソースタギングされた)RFIDタグ(2.45GHz帯またはUHF帯のパッシブ/リードオンリ型タグ:6インチ×10インチ。エイリアンテクノロジー社製)のePC情報を読取ることで検知します。そしてコンピュータ上に逐次商品の在庫数を表示し、在庫が減少したり、明らかに窃盗と思われる状況(大量の商品が陳列棚から抜き取られた状態)になると、警告を発する仕組みになっています。
 ウォルマートの実証実験では、ジレット社はエイリアンテクノロジー社に対し、5億個のRFIDタグを発注して話題になりました。その単価は明らかにはされていませんが、RFID Journal等の情報によると、おそらくは10セント/タグぐらいであったのではないかと推定されています。
ジレット剃刀陳列棚(Smart shelf)
陳列棚の左側に、在庫情報を表示するディスプレイ(INVENTORY SYSTEM:右)と窃盗等の監視状況の警告を表示するディスプレイ(HANDHELD ALERTS:左)と、警報を出すためのスピーカが置かれているのがみえます。

(2)商品の入荷

別に用意された平台型のリーダの上に、入荷した複数の商品を一度に載せると、リーダが複数のタグを同時に読取り、入荷数が接続されたコンピュータ(PC)上にリアルタイムでカウントされます。

ディスプレイの並んだ台の左にある車輪付きの台が、入荷確認用のリーダです。
(3)店頭在庫管理

 Smart shelfの各段の棚板の裏側にリーダが設置され、常時商品のパッケージに埋め込まれたRFIDタグの情報が読み込まれており、それによってSmart shelfの背板に一定の間隔で配置されたフックに、数個ずつ陳列されている商品パッケージ(計約60個程度)の状況がモニタされています。
 商品がフックからはずされると、その結果がただちにコンピュータ上に表示され、在庫数が変更されました。
(4)窃盗時の対応(モニタリング)

 デモにおいては、Smart shelfのフックから同時に5つ以上の商品をはずすと、通常はそれだけの商品を一度に購入する顧客はないとして、窃盗が行われたと判断されます。するとSmart shelfに接続したPCの画面に警告の大きなメッセージが表示され、その後PCに連動したデジタルカメラが捉えた、窃盗時のSmart shelf近傍の画像が表示されるようになっていました。
Smart shelfのフックから同時に5つ以上の商品をはずすと、「HANDHELD ALERTS」ディスプレイが「盗難」の警告を発します。
ディスプレイ横のパーティション・モールの上に、監視用のカメラが設置されているのがみえます。

「HANDHELD ALERTS」に、監視用のカメラによって撮影された窃盗時のSmart shelf近傍の画像が表示されます。

3.1.14 質疑応答

Q: センタ側のデータベースは必須のものであるか?またタグとシステムとのデータの持ち方のバランスについて、どのように考えるか?
A: Auto-IDセンタの提唱するRFIDタグ・システムでは、データキャリアであるタグ自体には、あまり情報を持たせず、リードオンリーを主体としたシンプルな構造にすることでコストの削減を図り、その普及を図ろうとしている。そのためセンタ側にデータの処理の仕組みが必要になるが、それはインターネットのDNSのような、分散システムによって実現されるものだ。

Q: ePCの発行はだれが行うべきか?
A: 将来的には非営利団体(NPO)のようなところが管理していく必要があるだろう。Auto-IDセンタも2003年中にNPO化する予定である。

Q: アンテナの実現方法やサイズについて、どのように考えているか?
A: 到達範囲、出力(能力)により、どのような方法やサイズで実現してもよいと考えているが、まずはアンテナよりも、コスト削減に影響の大きいICチップの改良に重点を置いている。

Q: RFIDタグ技術に対しては、Linuxのような技術のオープン化は可能か?また地球温暖化対策などへの共通利用は可能か?
A: Auto-IDセンタの基本スタンスは、あくまでもオープンでスタンダードである。技術の普及をめざして、ePCの標準化をはじめとしたハードウェア、ソフトウェア技術の標準化を図っている。またアイディアは出しても、具体的な商品化等は行わない。

Q: RFIDタグをとりまく今後の動向は?
Auto-IDセンタは、RFIDタグの研究の3つのフェーズのうち、フェーズ2までを既に完了した。フェーズ3についても、今年(2003年)の夏までには終了する予定である。

フェーズ1 各社の既存ハードウェアに組み込むことのできるソフトウェアの開発と検証
フェーズ2 Auto-IDセンタとしての実証的なハードウェア、ソフトウェアの開発と検証
フェーズ3 開発したハードウェア、ソフトウェアの実証的な検証

Q: タグのセキュリティ対策はどのようになされているのか?
A: タグ内のデータのセキュリティに関しては、たとえば書き込みを1回だけすることができ、複数読出しが可能なチップ(WORM)を使ったクラス0仕様のRFIDタグを利用することが考えられる。
残念ながら、タグをアルミホイルで遮蔽するとか、タグ自体を破壊する行為に対しては、現時点では対応することはできないが、モニタリングしていれば、こうした行為によるタグ情報の消失をセンタ側のシステムによって検知することはできるだろう。

Q: 利用環境についての制約はあるか?
A: 特に定めていない。利用環境におけるアプリケーションに依存するものと考えている。



Auto-IDセンタの視察を終えて

参考:
 東京大学坂村教授が中心となっている「ユビキタスIDセンター」も、Auto-IDセンタと同様、世の中の全てのものにIDを付与してその情報にアクセスできるようにする、という点では共通した研究テーマを持っています。しかし今回の視察でもはっきりしたように、現在両者は正反対のアプローチをとっているようです。
 坂村教授氏は、データキャリアであるタグ側にいろいろな機能を持たせるという発想であるのに対して、Auto-IDセンタでは、そうした機能はセンタ側(分散データベース、バックエンド)に持たせ、タグを簡素化してコストを下げるという発想なのです。

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