1.訪問先について
1.1 MIT Auto-ID Center本部
Auto-ID Centerは、MIT(マサチューセッツ工科大学)に本部を持ち、RFID(無線認識)タグ等の次世代バーコードを研究する非営利の国際的な研究機関です。
今回の訪問では、実践的な研究を進める2名のアソシエイト・ディレクタから、RFIDタグをとりまく問題やそれらに対する取り組み全般説明を受け、質疑応答、および関連するデモンストレーションをして頂きました。
セミナールームでの説明は、RFID研究のメッカであるAuto-ID Centerの活動目標と、その実現の要件、すなわちタグのための新しい標準コード体系や、オープンなネットワークをベースとしたデータ処理などの具体的な技術、そしてそのの応用方法についての解説が主体となりました。説明は、ややアカデミックで専門的なものでした。
また別室で、RFIDタグを活用した店頭在庫管理の実証実験として、ジレット(Gillette)とウォルマート(Wal-Mart)、テスコ(Tesco)が共同で行った、「Smart
shelf」テクノロジーに関するデモンストレーションが行われ、ウォルマート店頭と同様の「Smart shelf」の実際をみることができました。 |
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1.2 Matrix社
メイトリックス(Matrix)社(メリーランド州コロンビア)は、RFIDタグとそのアプリケーション(SCMなどの対応システム)の設計・開発、販売、コンサルテーションを手がけています。
今回の訪問では、Busines Development部門の副社長であるシューメーカー(John C. Shoemaker)氏より、同社の戦略や主力製品である915MHz(UHF帯)RFIDタグ、および管理システム(ソフトウェア)であるMVMの優位性等について説明を受けました。
また同社とともにRFIDタグ関連製品の開発会社の二大双璧をなすエイリアンテクノロジー(Alien Technology)社との戦略やプロダクトとの相違点についても、お話を伺いました。
同社はICチップやタグ自体は製造しておらず、それらのデザインやアプリケーション開発、およびシステム化に主眼をおいており、それらの商品化はビジネス・パートナーが行っています。
今回の説明を通して、日本ではまだ認可されていないUHF帯RFIDタグの特徴がかなり明確になりました。
また同部門のマネージャであるウッド(Erik J. Wood)氏により、RFIDタグを装着したパレットの複数同時読取のデモンストレーションが行われ、UHF帯RFIDタグの認識距離(レンジ)や同時読取の性能を確認することができました。 |
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1.3 Alien Technology Corporation
エイリアンテクノロジー社(カリフォルニア州モルガンヒル)は、FSA(Fluidic Self -Assembly)と呼ばれる同社のコア技術を応用して、高性能で安価なRFIDタグを専門的に開発・製造しています。
今回の訪問では、Business Development & Marketing部門の副社長であるパウンズ氏(Thomas M.
Pounds)氏より、エイリアンテクノロジー社の概要とFSAを応用したRFIDタグの作成工程、コスト削減等の戦略と製品の優位性等についてのお話を伺いました。製造プロセスにおけるRFIDタグの単価を下げるためのさまざまな技術・工夫を知ることができ、1個3セント以下のタグ(パッシブ、リードオンリー)も決して実現不可能なものではないことが分かりました。さらにFSAを用いたRFIDタグの第二世代の生産ラインも見学させて頂きました。
また、パウンズ氏と同部門のディレクタであるマクドナルド(Mark G. McDonard)氏により、2.45GHz帯と915MHz帯のRFIDタグを用いたマーケット・レジと、広範な通信が可能なアクティブタイプ(電池内蔵)のRFIDタグを用いたデモンストレーションをして頂きました。 |
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1.4 PRADA New York Epicenter
Store
PRADA New York Epicenter Storeは、イタリアのオートクチュールとして名高いプラダ(PRADA)が、2001年12月にニューヨークのソーホー(SOHO)地区にオープンした店舗です。
ここではRFIDタグなどの新しい技術が積極的に取り入れられており、それは文字通りニューヨークの新しい中心(epicenter)となりうる、革新的ともいえるお店でした。
今回は残念ながら店内視察のみでしたが、ドレスなどの商品に話題となっている多少大型のRFIDタグがついていることや、Staff Deviceなどの店内情報システムのツールを確認することができました。 |